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自由空間型電波暗室は床、天井、壁など室内の内壁6面に電波吸収体を貼付し、各壁の反射を抑制することで、被測定アンテナが擬似的に自由空間に置かれた状況を作り出します。
暗室内に置かれた送信アンテナから電波を輻射し、もし床、天井、四方の壁からの反射が完全に吸収されるならば、電波は無限の彼方に伝播し続けるのと等価な状態、自由空間(無限空間)となります。
しかし、電波吸収体はすべての電波を完全に吸収するものではなく、僅かに反射が生じています。受信アンテナには直接波のほかに、床、天井、壁のあらゆる箇所、方向からの反射波も到達し、直接波の測定にそれだけ誤差を与えることになります。
自由空間型電波暗室の性能はこの反射波/直接波の比、すなわち無響特性で決定されます。受信アンテナの領域(被測定体の試験領域)を無響領域(Quiet Zone 以下QZ)と規定し、その領域内の無響特性をもって電波暗室の性能とされます(通常、QZの大きさは被測定体の大きさにより決定されます)。
無響特性を小さくすることが電波暗室設計のポイントとなります。
アンテナ用電波暗室の無響特性のシミュレーションにはEMI用電波暗室と同様にレイトレース法にて上記図のようにQZの外周の無響特性をシミュレートすることで解析をします(通常QZの内側の方が無響特性は良くなるため)。
シミュレーション後、最終的な仕様を決定します。ご要望により難燃性重視、低価格を重視、不燃性重視、真空で使用可能な電波吸収体等を組み合わせて、様々なタイプの電波暗室を施工する事も可能です。